OMO2017 News

2017.3.11 コースディレクター柳下大のコース解説

奥武蔵マウンテンオリエンテーリング(OMO)にご参加いただきありがとうございました。春間近の奥武蔵の里山をお楽しみいただけたでしょうか。

2回目を迎える今回でしたが、難易度や競技時間などコース設定の基本的な考えは1回目を踏襲しました。今回はよりじっくり競技を楽しんでいただきたく制限時間を4時間半から5時間に延長し、それに伴って時期をより日の長い3月に移行しました。低山の奥武蔵でも数年に1度は1-2月に大雪があることを心配していましたが、雪もなく当日も好天で最高のコンディションで開催することができました。

 

■レギュラークラス

昨年同様距離は10-11kmで、トップレベル選手想定で1時間50分程度になるようなコース設定としました。今回のエリアはトレイルもそれほど明瞭でなく、森林部分だけで10km超のコースを組むとレギュラーとしてはナビゲーション密度が高すぎるコースになってしまうため、眺望の開けた明るい雰囲気の弓立山に登り、大附のみかん山を経由してから森の中のナビゲーションを含む設定としました。そのためマウンテンOといいつつ、序盤のロード区間が発生してしまったのは申し訳ところと感じています。ただ、序盤もただ道を走るだけでなく、ルート選択のあるコースになるように設定の工夫をしました。

 

S-1 

ニューサンピア内の遊歩道でウォーミングアップの区間と感じていましたが、手前で探してしまう選手も多かったようです。スタート直後で自身の感覚が慣れていないうえに、他の選手の動きにも惑わされやすかったということも要因でしょうか。距離感および地図の「139」の「9」字のあたりが鞍部になっていること、さらに道の西北西から西南西への方向変化を意識したいところです。

 

1-2

ルート選択は最短の東側のトレイルと、ロードでの登りとほぼ半分に分かれました。ここは選手を分散させたいという狙いもあったので、狙いはうまくいったと感じています。

 

4-5 

西へ向かう尾根ルートと南へ向かう谷経由のルートが考えられますが、登距離は尾根ルートのほうが少ないです。なお、谷ルートの場合名所の大クスに寄ることができます。

 

5-6

コントロール位置はエリートクラスと共通なので少し難易度は高いです。自信があれば尾根上の鞍部から(手前の尾根に注意)、難しいと感じたら道を最大限に利用して東側の鞍部から逆に道をたどってアタックも可能な設定にしました。

 

8-9

多くの選手にとって難関だったようです。道の分岐が多く複雑で作業道跡なども交錯しており惑わされやすかったのだと思います。また、不明瞭な3差路がある鞍部が広く、方向感覚が狂いやすい場所でありました。このような場合、やはりコンパスで方向を維持することが大事です。また、どの程度アップダウンがあるのか意識するとよいでしょう。下りすぎたり登りすぎたりする前に気付いて再考することで、ミスを小さくすることができます。

 

結果は今回前半が昨年より走れる区間としたため、2時間台が出るだろうという予想通りでした。完走率も特に阿闍梨CUPでは大幅に向上しています。これはこの1年間の練習の賜物だと感じます。一方で前半から苦戦しているチームも見受けられました。おそらく地図読みの経験が浅い方も出走されていたのではないかと考えられます。チャレンジするイベントと並行してナビゲーションを学ぶ場の提供も行わなければならないと感じました。また上位でも分単位のミスがないという方はほとんどおらず、やはり山岳ナビゲーションは簡単なものでないと認識を新たにしました。

 

■エリートクラス

「OMMよりもさらに難しい山岳ナビゲーションのチャレンジ」

というコンセプトで昨年コースメイクを行いましたが、再度チャレンジしたいという声も多く、今回も難易度や要求される体力は維持する設定としました。難易度についてはエリアの特性によるところも大きく、昨年のようなくせのある地形があまりなかったのですが、極力多様なナビゲーション技術を問うコース設定を心がけました。

 

コースを組むにあたって緩斜面帯(コースの9-10-11)は含めたいというのがまずありきでした。ただ、このエリアは会場から距離があり途中を全てハードなナビゲーションでは設定時間をオーバーしてしまうため、中盤は気持ちよくトレイルを走れる区間も設定しました。その分前半のエリアは難易度の高い設定がしやすかったこともあり意識的に難易度をあげています。半面に終盤にロードが多くなってしまいましたが、ルート選択もあるようにしてトータルでは変化に富んだコースにできたと感じています。

 

S-1-2-3

1はウォームアップですが、2と3は特徴がつかみ取りにくい地形でのナビゲーションを課題としています。方向や高さを意識することと、特徴の掴みづらいなかでいかに手がかりをさがすかがポイントになります。例えば2では道の北側の平坦部はアタックポイントとして使えますし、谷を一本横切るあたりは傾斜変換にもなっているので、ここで高さの調整も可能です。3の場合北側は等高線間隔が一様に詰まっているので、ここがストッパーになります。2と3合わせてソロクラスは寺垣内選手がなんと16分でカバーしています。他の選手も20-26分程度に収めています。一方でエリートクラスは明らかに対応できていないチームも見受けられ、ナビゲーション力が明確に現れた区間となりました。

 

3-4

ピークを左に巻くか右に巻くか。道で引っ張る右のほうが無難ですが、距離・比高は左のほうが少ないです。トップ3はいずれも左まわり。そこまでの区間で植生がいいことを確認して、行けると判断しているのだと思われます。

 

4-5

大胆にルートが分かれます。北の尾根回り、中央のロード利用(いずれも14を経由する)、南の鞍部切りから谷をつめるという3パターン。ここもトップ3は中央のロード利用で同じルートでした。登距離はいずれも同じでロスがなければタイムはあまり差がないと推測されますが、一番ロスの可能性が少ないルートを選んでいると思われます。

 

6-7-8

コントロールの難易度はあまり高くありませんが、ルート選択が分かれる区間です。6-7もトップ3は北回り。ただしアタックの方法は3様でした。7-8もロードに出るまでは3通りに分かれました。鞍部切りをした円井選手は一つ高い方の鞍部を通過したため2分ほどロスしています。この区間はどのチームも手堅くまとめており、8がマーシャルポイントは多くのチームが通過できています。

 

8-9

南北に大きくルートが分かれますが、登距離は330mで変わりません。トップ3はルートが分かれましたが(円井選手が南)、タイム差はほとんどありませんでした。なおこの区間で8まで完走安全圏内にいたソロの飴本選手、飯島選手はロスがあったようです。

 

9-10-11

植生は良好なエリアで、10は地形を使ったナビゲーション、11はダウンヒルの直進です。この区間はエリートクラスでふきのとうチーム、TMSチームが好タイムを出すなど、全般的にオリエンテーリング選手との差異があまりなかったところが興味深いです。

 

11-12

トレイルに乗れば下り基調のランニング区間となるので、積極的にスピードを上げたいところです。コントロールは枝分かれする尾根辿りという典型的な山岳ナビゲーションを課題としています。

 

12-13

一転してファインなナビゲーション課題です。地形はメリハリがあるのでしっかり対応させながら進みたいところです。この区間は地形を横切る課題だったせいか、その課題に慣れているオリエンテーリング選手が速いという特徴がでています。

 

14-15

ルート選択。ここはルート選択によって大きなタイム差があります。西周りルートが見えたでしょうか。コントロール位置のせいか東側に意識がいきがちだが、視野を広げてプランニングができるかがポイントになります。比較すると、西ルート(3分)小泉ルート(1分半)寺垣内ルート(3分)円井ルートぐらいの差がありそうです。

(ただし西ルートの場合水分補給はできないという面もあります)

 

15-16-17

ロードが多いですが、ルート選択も用意しています。16の脱出は山越えと道回りがありますが、山越えはヤブにはまる可能性があり、道回りを選択した小泉選手のほうが速かったです。

 

寺垣内選手の優勝タイムはまさに設定どおり。初見でこのタイムは本当に素晴らしいと思います。なお、制限時間5時間に対し優勝設定3時間20分としたのは、優勝タイムの150%を制限時間としたかったからです。150%がエリートを名乗れるボーダーラインだと考えてのことですが、時間内完走は3名でした。2年間やってみて、この150%に入れるのは現状オリエンテーリングの経験が多い選手にまだ限られているということを感じました。ただし昨年よりかなりこのラインに近づいていることは間違いないです。オリエンテーリング選手でもあるコースディレクターとしては、オリエンテーリング選手の活躍はうれしい反面、単に長いオリエンテーリング競技になってしまってもいけないと感じています。コースや地図のありかたについてはまた試行錯誤したいと思っています。いずれにしても次回も気合を入れて準備しますので、ぜひとも多くの方に再びチャレンジしていただきたいと感じます。

 

■地図について

電子地形図に対し加工を行っています。追記した記号については凡例に出ている通りです。等高線に関しては基盤地図情報の5mメッシュ標高データから等高線を発生させたものに差し替えています。これはこのエリアの地形図の尾根谷表現が甘く、コントロール位置設定可能な箇所が乏しかったためです。地形に関してはナビゲーションしやすくなっており、好タイムが出た要因のひとつと考えています。また、誤って民家や果樹園等に入ってしまうことを防ぐという目的と、里山らしい暖かみのある雰囲気を地図で表現する目的から色塗りを行いましたが、実線の道がさらに判読しにくくなってしまった箇所もありました。道の周りを白抜きする、道幅を広げて表現する等、見やすい地図になるよう改善を行っていきたいと思います。

2017.3.7

各クラス上位ルートを掲載しました(転載・再利用不可)

2017.2.23

駐車場について駐車場所が変更となりました。

ニューサンピア施設内にある第2駐車場となりました。入口を入って進行方向右側、プールの近くにあります。体育館の正面下にある駐車場です。そちらに停めてくださるようお願いします。約100台近く駐車が可能です。

 

2017.2.21

いよいよ開催まで10日となりました。会場のニューサンピア越生へ田島が出向き、ファシリティ等々について確認してきました。今日は駐車場の案内、会場の体育館への入館の仕方をお知らせします。

#駐車場は施設内の第2駐車場へ変更となりました。

 

 

会場の体育館への入館の仕方です。

 

バスを降りると目の前はニューサンピア越生の施設正面エントランスです。

 

しかし、参加者のみなさんは、そのまま正面エントランスからは入らず、進行方向右(東)側の白い建物の方向に曲がって進んでください。白い建物には梅の湯というピンクの看板があります。

 

第2駐車場からは白い建物と体育館が北側真正面に見えます。

約30m、東に向かってそのまま歩いていくと、開いていない喫茶ルーム、白い建物の日帰り温泉梅の湯のくつろぎスペースを通過します。

 

日帰り温泉梅の湯は、参加者のみなさんももちろん入浴可能です。

http://www.sunpiasaitama.com/facilities/umenoyu.html

 

フロントにて780円お支払いの上ご利用ください。レース後、体を癒すのにぴったりでは?

 

梅の湯は、アルカリ性単純温泉の日帰り入浴施設です。
関東でも有数の美肌の湯で、お肌もツルツルに。
お食事処も併設してございますので、どなた様もお気軽にご利用ください。

泉質 効能
アルカリ性単純温泉
(アルカリのph値〔10.1〕
神経痛・筋肉痛・運動麻痺・関節のこわばり・打ち身・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後回復・健康増進

 

くつろいでる人たちを横目に(朝からはいないかもしれません。。。)、そのまま進むと、会場の体育館に到着です。
出入り口が狭いので、入口、出口専用と分けます。遠くに見えるのが出口。そしてその向こう側はもう競技エリアです。ドキドキですね。

入口はこのように狭いです。手前に土足禁止の青ビニールシートを敷きますので、そこで靴を脱いでお入りください。靴は各自管理してください。

施設内を利用する場合、例えばトイレや入浴する場合は体育館奥の施設内を通ることができます。会場の体育館へ入る場合は必ずこの入り口を利用してください。

 

体育館は男子更衣室、受付を兼ねています。

女子更衣室は体育館からさらに奥、施設内に女子更衣室がありますので、そちらをご利用ください。

 

競技終了したら泥などは体育館内に持ち込まないよう十分に払ってくださるようお願いします。


2017.1.5

準備は着々と進んでいます。コースディレクターの柳下、すでに2回ほど調査、試走もしました。以下、柳下のコメント。

 

『OMOの下見、はじめました。奥武蔵の里山も紅葉から冬枯れを迎え、探検しやすい季節になりました。 さて下見ですが、まず広い範囲を浅く見ることから始めています。早速今回のフィールドでもなかなか面白い課題が出てきました。これからさらに何が出てくるか、下見に行くのが楽しみでしょうがないです(笑)。どんなコースに仕上がっていくか期待していて下さい。』