柳下・山田、第1回ロゲイニング日本選手権優勝! レポート:作戦編

24時間の競技を終えてフィニッシュする柳下・山田チーム
24時間の競技を終えてフィニッシュする柳下・山田チーム

2017.7.15-16、長野県松本市周辺で、日本で初めてのロゲイニング日本選手権が開催された。競技時間は24時間。国際ルールにのっとって本格的なレースが展開され、多くの参加者が24時間という未知の競技時間を経験したことだろう。参加チームはおよそ90チーム、180人。今回TEAM阿闍梨からはロゲイニングの帝王と言われる柳下が、山田慎也選手とチームを組み出場。他を圧倒して総合優勝し男子優勝した。さっそく柳下から寄せられたレースの作戦編、実践編を掲載したい。

 

里山と街を含めた広大なエリアは、24時間のフィールド確保や日本特有の渉外の難しさをカバーするのに最大限努力した結果だろう。フィールドやナビゲーションの難易度に課題はあるだろうが、この24時間のロゲイニング開催により国際ロゲイニング連盟が主催する世界選手権、ヨーロッパ選手権等に日本からの参加資格のハードルが下がったことは評価できると思われる。

また安全管理も兼ねた観戦用に全チームにGPSを装備し、どのチームがどの山域にいるかネット上で見られる演出をした。 


日本ロゲイニング選手権ー作戦編ー    柳下大

レース前の受付にて
レース前の受付にて

第1回日本ロゲイニング選手権に参加してきました。

結果は2436点(満点は3000点)で優勝することができました。2002年に国内で初開催されたロゲイニング大会から、ここまでたくさんの参加してきましたが、今回は24時間の日本チャンピオンを決める選手権で、キャッチコピーも「最強は誰だ」。

「今までの実績は関係ないよ、ここで勝った者が真の実力者だよ」というメッセージと受け取り、ならば真剣勝負だという緊張感を持って臨みました。チームのペアは山田慎也選手。彼はPTLなど海外のロングトレイルの完走実績があり、フル2時間40分、ウルトラ8時間と走力も申し分なく、頼もしいパートナーです。

作戦編と実践編に分けてレポートを書きたいと思います。

事前に想定した図
事前に想定した図

■作戦編

まず、プログラムで公開された情報から、競技範囲とCP数、配点を想定した。

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CP数:50

満点:3000点

地図のサイズ:A3ノビ

縮尺:1/50000

最低標高:520m 

最高表高:1530m

 

 

シンヤさんが過去地図を入手してくれて、今回も美ヶ原が入ることを楽しみにしていたが、少し残念という感想。全般的に標高が低い分、暑さ対策もより必要になる。

A3ノビの1:50000の範囲は約20*15kmで、単純に地図の外周だと70km。ちなみに、、、A3ノビの1:25000で開催されるロゲイニング大会は多く、トップが8割程度を取る設定が適しているとすると、市街地ら5時間、山なら10時間程度。つまり、山と街の比率が3:2だったら、8時間程度が適しているということになる。

それと比較して、今回の範囲は外周距離は2倍、面積で4倍ということになる。CP数が変わらず位置関係が相似ならルート距離は2倍ちょうどだが、CPの位置や数の増加によってルート距離はさらに増加する。(このあたりの計算は複雑になると思いますが、、、)

今回は50個とやや多めということで、ざっと2.5倍ぐらいになると想定される。

 

また24時間になると巡行速度は落ちるので、これを1.2倍と考える。

以上から、8時間*距離2.5倍*巡行1.2倍=24で、やはりちょうど24時間に適した競技設定、ということが想定される。つまり、優勝を狙うならおおよそ8割狙いでプランニングすればOKということになる。

もっとも、これだけ広範囲だと設定の負担も大きいため、若干狭い範囲に収まっている可能性、基本は道利用で、不整地の巡航低下が少ないこと、自分たちの頑張りで1.2倍を短縮することなどから、満点近くもありうるとも想定した。

流れとしては日中は熱いため炎天下の町は避けたく、まずは山、夜は街、夜明けに山と考えた。

以上が事前にコースを予想した内容になる。

 

さてレース当日、それぞれ車で早朝出発で、10時前に会場で合流した。地図が配布されたのは10時40分。

 

範囲はほぼ予想通り!

ざっと見た印象は街が想定より点数低めで、高得点CPは出戻りか空走区間が発生しやすい。すんなり効率的できず難しいなあと、地図に見入っていたら、うっかり飲み物を地図上にこぼしてしまった。少し慌てたが、タオルでふき取って大きな影響はなく済んだ。

 

気を取り直して頭を整理し、

・ひとまず満点も意識したプランニングをしておきたい

・近くは保留できるが、遠くはプランの段階では外せない

・近くで保留できるCPを探す。まずは32、次に65。

・特に32はアプローチが南北しかなく、他のCPからも離れていてかなり非効率

・会場へのIN・OUTは34or41が良いのでこれは決定

・山、街、山なら最初は東に出て南北いずれかの山塊に展開が良い。と、するとまずは34。

 

これで東から時計回りか反時計回りかに決まる。

南の山塊は73へのアプローチが3方向で一筆書きが難しく、序盤だと取捨選択が難しい。いっぽう北の山塊は一筆書きしやすく、早ければハッシュハウスにも寄れる。101は遠いが、行く行かないの判断は48の到着時間でできるうえに48-61の流れも良い。また、最後は41なので後半南のほうが流れが良い。

 

これで反時計回りに決めた。

なお、65は非効率と判断したが、まずまずの高得点&終盤残すとラインが交差する(極力避けるべき)ので序盤にとることとした。

南の山塊の取り方は調整がきくのでスタート時点では保留にした。水は1.7L程度 食料はある程度コンビニも使えるので7割程度を持った。また発汗対策で塩タブレットはたくさん持つ。会場内も暑いのでなるべく消耗しないように過ごした。

 

 

(競技編つづく)

 

 

競技用に配布された地図
競技用に配布された地図
スタート前の作戦タイムでどうまわるか考えている山田・柳下
スタート前の作戦タイムでどうまわるか考えている山田・柳下