東京湧水めぐり60 webサイト https://www.teamajari.com/event/tokyo60sprigstour/
1.なぜ古地図ナヴィゲーションなのか?
第一に、地域を知ることができる。今は道路と建物に覆われた都市も、豊かな歴史と地勢に恵まれている。遠出を控えたくなる今こそ、地域の魅力を見直すチャンス。古地図はそのための格好のツール。
第二に、ノスタルジアに浸れる。明治以前の東京は郊外に豊かな自然が広がる田園都市だった。古地図にはその田園光景が残されている。古地図を使って移動すれば、150年前の東京、あるいは江戸にタイムスリップした気分が味わえる。
第三に、そして最大のメリットは、大都市のまっただ中で北欧の大地や東欧の深い森でしか味わえないナヴィゲーションができること。頼れる情報とそうでない情報を読み分けるナヴィゲーションは、都会にいながらアウトドアナヴィゲーションの最良の練習の場となるのだ。
2.古地図ナヴィゲーションのポイント
では、古地図でどうやってナヴィゲーションするのか?古地図ナヴィゲーションのhow to を大公開。これらは、大自然の中でのナヴィゲーションにも通用する、ナヴィゲーションの極意だ。
1)頼れるものは地形
ナヴィゲーションで重要なのは、地図から頼れる特徴物を読み取ること。古地図の場合、これは地形だ。多くのコースで、地形が使えるようになっている。下図に使える地形を太い茶色で示した。1は谷頭で、斜面に囲まれている。1→2には右岸段丘が線状に連なっている。2は北に突き出た台地の突端である。2→3も川という線状特徴物に沿って進むことができる。
2)常にリスクを評価する
頼れるものの少ないナヴィゲーションでは、ロストすると復活が難しい。だから、常にロストのリスクを評価し、安全策を採る。1は真っ直ぐ目指すと西にそれたとき、どこまでもいってしまう。4は平坦な台地の上なので、一撃必殺の覚悟が必要だ。
3)プランという発想を持とう
リスクに対抗するもっともオーソドックスな方法がプランニングの工夫だ。たとえば、1は、多少距離が長くなっても、まっすぐ目指すのではなく、北東に延びる谷を目指し、谷に出たら源流を目指すといった「エイミング・オフ」の技術が使える。3では周囲を線状特徴物(この場合は谷)で囲うことを意識すれば、不安なく進め、ミスにも備えられる。
4)歩測とコンパスを活用しよう
リスクに備えるもう一つの方法が、歩測やコンパスワークだ。コンパスによる進路の方向確認は古地図ナヴィには欠かせない。その習慣は自然の中のナヴィゲーションにも生きるだろう。4も3から④の台地の突端にあがったら、方向維持に加えて歩測で距離を把握する。歩測の有効性を実感できるのも古地図ナヴィならではだ。
5)地形の変化に敏感になろう
実際に進む時は、地図と対応できる地形を読み取ることが肝心だ。といっても、高いビルの乱立する都市では地形は必ずしも見えるとは限らない。その時、「常に地形を感じる」努力が必要だ。どちらが下っているか登っているか、自分の周りの空の開け具合はどうか?交差する道路の斜面も注意を払う。直交する道を覗いてその両方が高くなっていれば、自分は谷を走っていると分かる。台地上の地形か谷なのかも空の開け具合で分かる。
眺めを得られる地点を最大限に活用しよう。台地の上からこれからいくところを目視する。丘陵沿いに走る時も、道のできるだけ遠い側を走ることで、丘陵の尾根・谷・鞍部がよく分かる。
6)五感と知識をフル活用
ポイントの特徴を捉えて、それを最大限に利用する。子どもの声が聞こえてくれば、公園があるかもしれない。神社や寺院は今でも鬱蒼とした森に囲まれており、遠くからそれと感じられるだろう。比較的新しい学校があれば、かつての低地の名残かもしれない。低地にある曲がりくねった、しかし連続的な細い路地、あるいは線状の緑地は暗渠や旧河川の跡の可能性がある。