稲毛日菜子選手~8月ワールドカップから2018年後半

今年夏よりTEAM阿闍梨でサポートしている、オリエンテーリング世界選手権日本代表、全日本チャンピオンの稲毛日菜子選手。8月の世界選手権出場以降の報告です。10月受傷し長期入院、全日本選手権ミドルディスタンス、スプリントディスタンス、アジア選手権など欠場した。現在、復帰に向けてリハビリ中。

スカイランニングレースで力走する稲毛選手
スカイランニングレースで力走する稲毛選手

9、10月はスカイランニングレース出場

いつも温かい応援とご支援ありがとうございます。

世界大会、海外遠征が終わり、再び来年に向けて鍛練期に入りました。早速ですが、今年度からフィジカル強化として取り組み始めたスカイランニングの後半シーズン2戦を終えたのでご報告です。

 

9月23日 「EBOSHIバーティカルキロメーター―烏帽子岳登山競走―」

女子結果

1. 立石 ゆう子 / Yuko Tateishi 1:13:24

2. 稲毛 日菜子 / Hinako Inage 1:18:56

3. 須藤 吉仕子 / Kishiko Suto 1:21:17

4. 錦織 美智子 / Michiko Nishikori 1:26:13

5. 岩楯 志帆 / Shiho Iwadate 1:27:44

 

コースは距離7.5km標高+1,200m、ひたすら登り続けて標高2,066mの頂上にゴールがあります。100人を超える全選手が一斉にスタートし、レース中は所属するオリエンティア軍団のチームメイトとデッドヒートを繰り広げ終始追い込む展開になりました。最初からギアを上げすぎ終盤大失速してしまったことが悔しいですが、持久力の限界を把握できたこと、女子では第2位の走りをできたことは良い経験になりました。

終始ゴール後、広がる青空のなかで自分が駆け上がってきた尾根や下界を見下ろすのは最高な瞬間でした。

 

日本スカイランニング協会 大会結果記事

http://skyrunning.jp/2018/09/25/2018eboshi/

 

10月14日 「尾瀬岩鞍バーティカルキロメーター」

女子結果

1.吉住 友里(Yuri Yoshizumi)49:30

2.黒澤 莉楠(Rina Kurosawa)56:51

3.安ヶ平 萌子(Moeko Yasugahira)56:55

4.稲毛 日菜子(Hinako Inage)59:19

5.滝澤 空良(Sora Takizawa)59:31

 

コースは距離5km標高+1,000mと標準的?なものに見えますが、序盤では必死に登ったゲレンデを数100m下り返し、後半には最大斜度が40度以上にある「ジャイアントウォール」がそびえ立ちます。切り替えや登坂技術を求められ、対応仕切れずゴール時にはスパートすらままならない程消耗してしまいました。結果は日本代表や実業団の選手に敗れ4位、また来年挑戦したい変化に富んだ面白いレースでした。

 

今年度のスカイランニングはバーティカル(駆け登り)種目に絞って出場してきました。年間ランキングは6位と予想より良い位置でしたが、トップ層とはまだ差があり自分の伸び白を感じることができました。

 

日本スカイランニング協会 大会結果記事

http://skyrunning.jp/2018/10/17/2018-oze/

 

 

新たなスポーツへの参戦は刺激的であると同時に、人の輪も広がる楽しさがありました。オリエンティア軍団として参加し、スカイランニング界にもオリエンテーリングという言葉が浸透してきたのも大きな成果です。

今年度は登坂力に特化したバーティカルレースを中心に出場してきましたが、来年はテクニカルな足場や登り下りを繰り返すスカイレースにも挑戦していきたいと思います。

引き続き応援よろしくお願いいたします!

”オリエンティア軍団”オリエンテーリング愛好者で作られたチーム。まるで10年前のTEAM阿闍梨のよう。
”オリエンティア軍団”オリエンテーリング愛好者で作られたチーム。まるで10年前のTEAM阿闍梨のよう。
表彰式にて。稲毛選手は2019年スカイランニングの強化選手に指定された
表彰式にて。稲毛選手は2019年スカイランニングの強化選手に指定された

世界選手権後再び海外遠征へ ノルウェーワールドカップと各国強豪選手とのトレーニングで得たもの

ラトビアから帰国してわずか2週間後の8/27~9/7、来年のWOCが行われるノルウェーへ2人で修行遠征してきました。テレインの環境、World Cup出場、日常生活全てが大変でしたが、レストデイ無して毎日森を走りまくった結果メキメキと対応・上達する感覚も得られ、意味ある遠征になりました。

 

・テレインの環境。森に入ると頭に張り付いてきてうごめく大量の羽虫に心を折られました。これでは勝負にならないと来年の出場を真剣に迷ったほど。しかし、大会期間中に各国の選手と並走してる中で、速く走り、止まらなければ被害が少ないことに気が付きました。お陰で後半のトレーニングは、ミスっても走り続けながらリロケしてまたアタックするという、無茶苦茶な体力トレーニングになりました。森は岩盤の上にベリーが茂っていて、常にモモ上げ状態です。湿地は膝丈の草の塊と水が混在しており、ここでもモモ上げ。しかし見通しは良く、遠くの地形を捉えながらスピードを出して走れます。

 

・World cup出場。ヨーロッパの強豪国ばかりが大量に参加するので、ある意味WOCよりシビアな戦いでした。何としても香港とのビリ争いは回避したいと思い、日々120%のレースをしました。(実際PursuitとRelayは実力以上の走りができたと思う)1日目Long(今年の全日本ロング+α)2日目朝Prolouge(インカレミドル)100㎞移動して午後Pursuit(インカレリレー)3日目Relay(インカレロング一斉スタート)という、3日間で日本の美味しいレース全てを味わえるスケジュールでした。2日連続でマススタートレースをし、走る技術は多くを盗むことができました。

 

・日常生活。世界で最も物価が高いと言われるノルウェー。ゲストハウスで3食自炊して節約。食材も可能な限り日本から持ち込み、お買い物は隣国のスウェーデンのスーパーに行きました。(駐車場はほぼノルウェー車で埋まってた笑)毎日21時には疲れて眠気に襲われて6時まで爆睡し、トレーニング計画を立てながらレースの準備をして出かけて洗濯機回しながらまたご飯つくってと、慌ただしい毎日でした。ゲストハウスのオーナーがプロゴルファーだったり、ホームパーティーに混ぜてもらってアメリカトップレベルのスイマーに会えたりと、楽しい交流もありました。

 

正直、ノルウェーで良いレースをするにはノルウェーの森を走りこむことが必要だと感じました。しかし来月から社会人復帰を決めた私にそれはできないので、今回得たイメージを、ナビゲーションポイントを、どれだけ日本で維持して練習できるかにかかっています。

ご支援、応援していただいたものを無駄にしないよう、来年の8月に向けてまた頑張っていきます。

 

ノルウェーでの各国合同トレーニングキャンプでのリレートレーニング。稲毛選手は世界の強豪選手のなかで3番手につけた
ノルウェーでの各国合同トレーニングキャンプでのリレートレーニング。稲毛選手は世界の強豪選手のなかで3番手につけた